水温計は嘘を言わない。

水温計、水温計ってしつこい元釣具屋店員のブログ。

「全ての釣りは偽物で釣る」 エサ釣りか?ルアー釣りか?論争に終止符を。

※2019年6月7日更新

 

どーも、ムラキです。

元釣具屋店員です。

いらっしゃいませー

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エサ釣りか?ルアー釣りか?

 

昔から謎に議論される。

 

異論は大いに認めるが、オレは”全ての釣りは偽物で釣る”ものだと思っています。

 

いわゆる餌木、毛ばり、ルアーといった類のモノに限らず、エサ全般も含めて「魚を騙す為の偽物で釣る」のだと。

 

そう、”オレの中では”ですが、エサ釣りでさえ偽物で釣ると思っています。

 

そんな持論を持つようになった、釣具屋でのエピソードを紹介しようと思う。

 

良かったら最後までよろしくどーぞ!

 

目次

 

 虫エサを無視する、腹ペコのアジ。

釣具屋での大事な仕事の1つに、イソメやゴカイ等の虫エサの管理業務がある。弱った個体や、死んだ個体を取り除いてやる作業だね。

 

やはり相手は生き物。病気をしたり、体がちぎれたり傷んだりして動きが悪くなる個体も出てくる。

 

中にはあからさまに変色してしまう個体もいるし、病気になった悪い個体が元気な個体を悪くしてしまう場合もある。だからオレの店では数時間ごとにチェックし、悪い個体や悪くなりそうなエサは小まめに処分する。

 

地味にグロい話で申し訳ないが、虫によってはハサミで悪い部分を切り取らないといけない事もあります。

 

で、虫エサとは別に、時期によっては水槽で活きアジ等も置いてる事があるんですよ。ある時、弱っていた虫エサを取り除いた後、興味本位で水槽のアジに与えた事がある。

 

スゲー速さで食いついてくるんじゃないのか?

そう思っていた。

 

ところがどっこい。意外と寄ってこない。

 

死んでる個体や、著しく色が変色した「喰うには体に悪そうな個体」は流石に与える訳にはいかないから、与えたのはぱっと見エサとして喰うには悪くなさそうな生きた虫エサです。

 

少し動きが鈍くなっていたり、変色が始まりだしたような、これから悪くなっていきそうだしギリ売り物には出来ないよね、っていう感じの状態。

 

確かに中には速攻で食いつく虫エサもあったけれど、大半はスルーしたり、一瞬鼻先まで寄ってくるけどUターン・・・っていう。

 

試しに、あまり良い事では無いんだけど、売り物の元気いっぱいのゴカイを1匹捕まえて水槽に放り込んだら速攻で襲い掛かって来た。

 

元気な餌は普通に食うんですよ。毎日沢山エサを与える訳でもないし、基本腹ペコなはず。つまり、水槽のアジ達は、

 

「コレ喰ったらヤバいでしょ」

 

という判断を瞬間的に下しているのでは、というのがオレの推論です。匂いなのかわずかな挙動なのか、人間には分からないけど魚には「コレを食べると俺が死ぬ!」という危険を察知する能力が確実にあるはず。

 

それが野生なんだと思う。

映画「ワールドウォーZ」を見て、水槽のアジを思い出した。

「ワールドウォーZ」という映画を見た事があるだろうか。

 

謎の疫病が原因で世界中の人間がゾンビ化してしてしまい、元国連職員の主人公が世界のあちこちを飛び回って、疫病への対抗手段を探るという内容。

 

ここからはネタバレになるので、映画を見てない人は気を付けて欲しい。

  

 

 

 

 

ゾンビは基本的に普通の人間に襲い掛かり、襲われた人間は疫病に感染しゾンビ化する。

 

が、主人公役のブラットピットは世界の各地で、ゾンビの大群が特定の人間だけを避けるようにスルーする光景を目撃する。

 

そこで彼はある仮説を立てた。

 

「ゾンビからスルーされた人間は、何か重い病に冒されているのでは??」

 

つまり、ゾンビたちから「自分の疫病を移す相手として不適格」あるいは「自分の疫病を脅かす危険な病を持った存在」だとみなされてるのではないか、と。

 

その仮説を元に、ブラピはゾンビに対抗するワクチンを作るためにウイルス研究所へ向かう。

 

長くなるのでこの映画の話はここまでにしておこう。

 

この映画を見た時に、水槽のアジの出来事を真っ先に思い出した。

 

野生生物は、多分我々が思っている以上に危険や脅威を察知する力が鋭敏なんだと思うんだよね。

 

バスフィッシングとかだと、表層でルアーを放置して死にかけの小魚を演出することもあるけど(必ずしもそういう演出とは限らないが)、実際には病気で弱った小魚なんかは意外とフィッシュイーターは襲わないと聞いた事もある。

 

それが視覚なのか、嗅覚なのか、聴覚なのか、側線なのか、はたまた第6感なのかは分かんないけど、魚は自分の口にするモノには元来シビアなんだと思う。

エサもルアーも所詮は偽物。

それを考えると、餌だろうとルアーだろうと、所詮は偽物にすぎない。

 

ルアーは言うまでもないとして、例えオキアミであっても、中には針が忍び、針の先にはラインが水中で漂っている。偽物以外の何物でもないよね。

 

針もラインも付いていない、弱った生きた虫エサでさえ魚は”察する”のだから、それが魚が食べられるモノだとしても、何か”罠”を仕掛けなければ怪しい偽物でしかない。

  

だから偽物に口を使わせるには、魚をどうにかして罠に嵌め、騙さないといけない。罠の手段は基本、不自然な要素をとことん隠すか、積極的に魚にアピールして思考回路を狂わせるか、のどちらかに行き着くと思う。

 

仕掛けやラインを潮に馴染ませたり、障害物にルアーを絡めるのはまさに隠す釣りだし、活き餌を暴れさせて捕食のスイッチを入れるのも、ミノーをジャークさせてリアクションバイトを誘うのも思考回路を狂わせる釣りと言える。

 

エサを使おうが、ルアーを使おうが、実は本質的に考えないといけない要素は同じなのではないか?

 

冒頭で述べた、全ての釣りは偽物で釣る、という持論はこういう点から導き出されたっていうわけです。

エサ釣りか VS ルアー釣りか論争は不毛以外の何物でもない。

リアルでもネットでも、エサ釣り師とルアーマンはよく対立する。マナーやルール的な観点はさておき、「どっちが釣りとして優れているか?」「どっちが面白いか?」的な論争を何十年も議論する愚かな人達には辟易してしまう。

 

釣具屋でも散々見てきましたよ。

 

エサ釣り師は、

 

「エサ釣りの方が沢山釣れるのにルアーなんて馬鹿馬鹿しい」

「自分の手をエサで汚しながら釣るのが釣りの基本だ」

 

という持論を掲げ、中には、

 

「ルアーマンはカッコつけばかり」

 

という、どうしようもない論理を理由に嫌う人間もいた。

 

ルアーマンは、

 

「ルアーの方がゲーム性が高い」

「エサは待つだけで退屈」

 

等とエサ釣りを見下し、中には、

 

「エサ釣りなんて誰でも釣れるだろw」

 

という、暴論を吐く呆れた人間もいた。

 

オレから言わせると、「どっちが釣れるから」とか、「どっちがゲーム性が高いから」等とうそぶく人間は、本質的に釣りについて何も考えていないのだと思う。

 

確かにエサの方が、基本口は使わせやすいし、口を使ってくれる魚も多い。ルアーの方が、積極的に手数を増やして試行錯誤を重ねないと釣れない部分も多い。

 

だが、本質的に魚を騙す過程で考えないといけない事は、エサを使おうがルアーを使おうが実は同じ。

 

所詮は偽物を使って釣るのだから。

 

なので、エサ釣りか、ルアー釣りか論争は、

 

「全ての釣りは偽物で釣る」

 

という考えが解決するのではないかと思うが、どうだろうか。

 

まだ不毛な議論で消耗するの?

おわりに

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 ぶっちゃけどっちもやってみるのが良いと思うんだよね。オレも基本はルアー釣りが好きだけど、エサ釣りも好きですよ。

 

小難しい事はさておき、どっちも面白いのだからどっちもやってみれば良いんじゃないですかね。

 

最後に余談だけど、活きアジに虫エサをやった話には続きがあって、実は活きエサのカニにも同じようなエサをやったことがある。

 

やっぱり基本喰わなかったんだけど、何匹かは喰った。

 

多分そいつらだと思うけど、次の日何匹か死んでた・・・昨日まで元気だったのに。

 

M店長、当時はスンマセン。

謎の突然死騒動は多分オレが原因です。

 

危機感知力は自然界でサバイブする上ではやっぱり大事なのね、ってお話でした。 

 

以上、ムラキでした。 

 

この記事もよんでかない?↓ 

buramuraki.hatenablog.com