どーも、ムラキです。
元釣具屋店員です。
いらっしゃいませー
先日はロッドの値段による違いについて記事を書いたけど、今回はリール編です。
価格に限らず個性が多種多様なロッドと比較して、リールに関しては割と値段の差ははっきりさせやすいですね。勿論機種によって個性は様々だけど、それでも基本的な話として「~こうです」と提示しやすい。
釣具屋でもよく聞かれていた、リールの値段による違いについて語ってみよう。
良かったら最後までよろしくどーぞ。
目次
気持ちよさ・安心感・維持費が違う。
細かい違いは追々書いていくとして、高いリールと安いリールでは何が違うのかをざっくりした感覚として説明すると、
①釣人にとっての感性が満たされる”気持ちよさ”。
②魚を獲るために必要な道具としての”安心感”。
③快適な使用を継続するのに必要な”維持費”。
この3点に集約されるんじゃないかな?
恐らく①と②は重視してる人も多いと思うけど、案外③は着目されにくいポイントだと思います。
この3つのポイントについて、一つずつ説明していきますね。
リールの違いその1. 釣人にとっての気持ちよさ。
気持ちよさ。
感覚的な話でもあるけど、実は釣人が一番求めている要素はコレなんじゃないかとオレは思っています。
釣人ってスゲー論理で釣りしてそうだけど、案外感覚で動いてる人種なのよ実際。
でも、使っていて気持ちい感覚というのは釣果と関係が無いわけではないからね。
この気持ちよさを生む部分について挙げていこう。
①ハンドル回転の滑らかさ。
多分これが一番分かりやすい要素だね。
クラスが上のリール程、ギアそのものや組み込みの精度も高く、ハンドルノブやギア回りにベアリングを搭載している数も多いし、ハンドルを回した時の滑らかさは明らかに変わってきます。
オレは昔エレキギターをやっていたんだけど、音、ネックの太さ、ボディの形とかは明らかに好みが分かれるけど、プロアマ問わずノイズが小さい事を嫌うギタリストなんて見た事も聞いた事も無いです。
誰だって余計な音は排除したいですから。釣りも一緒で、回転の滑らかさを嫌う人なんてまぁ見た事ないね。
釣人も案外アーティスト的側面があって、ハンドル回転で発せられる異音は論外として、微かなノイズやシャーシャー音に敏感な人も多いです。もう病気じゃね?って位拘る人もいますから・・・
リバティクラブとフリームスでは、明らかにハンドル回転の滑らかさとざらつき具合は違うし、フリームスとセルテートでもやっぱり違いはある。
ステラやイグジストクラスになればもう世界観が違いますね・・・
でも、これは単純に釣人の自己満足の話では終わらないのですよ。回転が滑らかという事は、水中から伝わってくる情報がより鮮明になるという事。
ルアーのブルブル感、潮の流れの変化による巻きの重みの変化、究極レベルいくと魚がルアーの後ろに付いた感覚さえ把握できます。
管釣りのトーナメンターなんて、試合ごとにベアリング類を交換するっていう猛者さえいますが、あながちやり過ぎとも言えない部分はあるね・・・いや、やり過ぎだけどw
一概には言えないけど5,000円の差があれば違いを感じられるし、10,000~20,000円くらい値段に差があれば”世界観”が変わってくるような感覚で変化があると思います。
②飛距離の伸び、投げるルアーの扱いやすさ。
これはベイトキャスティングリールの話ですね。
スプールの素材や重量、ブレーキ機構等によって、価格帯によって飛距離の伸びやルアーの対応の幅の広さは確実に変わってきます。
ある意味リールに関して一番釣人が拘るのがベイトリールのこういう部分だと思いますね。多分どんなリールのどんな釣りよりも、こだわりにうるさい釣り人が多いですw
勿論、単純に遠投性能が高ければ射程距離も伸びる。し、飛距離が出るという事は近中距離を正確に狙いやすいという事でもある。
一生懸命振りかぶって投げるのと、軽い力で丁寧にロッドを扱うのではどちらが10m先のカバーの奥へ正確に送り込めるかは明確だよね。余裕が全然違うし。
ルアーの扱いやすさに関しては、そもそもリールによって快適に投げられるルアーの重量の幅は違います。ただ、同じスプール径であればハイエンドクラスとエントリー・ミドルクラスでは快適に投げられる重量の幅が広くなると思って良いかと。
スプール径が同じ36mmだとして、ミドルクラスのベイトだと7gのリグを低弾道で投げるのが難しいのが、ハイエンドクラスであれば7gでも低弾道で気持ちよくカバーを打てる、というケースもあるという事(あくまで例えね)。
で、やっぱりね。
ルアーが伸びやかに飛んで行ってくれるのは最高に気持ちいのですよ実際。
気持ちよくルアーが投げられる感覚を車で例えるなら、加速に無理が無くて、アクセルへのレスポンスも鋭く、余裕のあるスピード感を体感できる高級車みたいな乗り心地だと思います。まっ、高級車乗った事ないから想像だけどw
でも的外れでは無いと思います。
③見た目の高級感や凝ったデザイン。
見た目で釣りをするのかよ、って笑う人もいるだろうけど、これは案外大事な要素ですよ!
だって我々は漁師ではないじゃないですか。
ただ魚が食べたいだけならモリで突いても良いし、網を仕掛けてもいいし、何だったらスーパーで買っちゃえばいいわけでしょ??でも釣人はそんな見も蓋も無い論理で動いてないのよ。
画像引用元:シマノHP
エクスセンスの現行品なんて、オレの人生で数少ない””見た目だけで”リアクションバイトしそうになったリールの一つです。
マットブラックのリールが昔から欲しいのよ・・・このクールさがたまらんねぇ。
真面目な話、見た目の高級感や凝ったデザインというのは、必ずしもすべての人が感動する部分ではない。でも、デザインは1つのステータスとして間違いなく大きい。
コレを持って色んな景色を見に行きたい!
そう思えるモチベーションさえ生み出してくれる要素だと思いますよ。
リールの違いその2. 魚を獲るための安心感。
純粋な意味での性能ですよね。
感覚的な話だった”気持ちよさ”に対して、”安心感”は具体的なリールの性能の話になる。
これも色んな要素があるから一つずつ書いていこう。
①巻き取りの安心感。
簡単に言えば、巻き取りのパワーが強く、負荷がかかってもしっかり巻けるという事。
巻き取りのパワーは無いよりある方が良いに決まっているよね。ハイエンドクラスに近づく程ギアと組み込みの精度が高く、ボディの剛性も高いからハンドル回転におけるパワーロスが少ない。
分かりやすい例えかは分からないけど、ホームセンターとかで売ってる1万円もしないようなママチャリに乗った事あります?
昔乗ってたけど、しばらく乗ってたらギアがギシギシいうようになって明らかにガタを感じるんですよ。平坦な道なのにペダルがすげー重く感じてしまう。
高級モデルに乗った事ないから分かんないけど、剛性の低さやパーツや組み込みの精度によるパワーロスってあんなに疲れを生む事を実感したね。10の力で踏み込んでも推進力は5とか6に感じる・・・みたいな。
リールも一緒で、巻き取りにおけるパワーロスが少ないリールは力強く巻ける。
というか、そもそも”確実に巻ける”んだよね。
”確実に巻ける”、というのは初心者の方には分かりにくい話かもしれないのですが、エントリークラスでヤバイサイズの魚を掛けたりすると本気で巻けない事もあるんですよ実際。
剛性が低いボディだと負荷がかかるとたわんでしまって、物理的にハンドルが回せなくなる事がある。
過去に一度あったのが、先輩とフカセ釣りでグレを狙いに行った時に、オレは先輩からレバーブレーキのリールを借りたんですよ。使った事なかったし、貸してくださいって言って。
ダイワの初代トライソだったんだけど、デカいグレを掛けた時にマジで巻けなくなってまともにやり取りできなかったもん。もう、ロッドを立てた位置からハンドルが回んないの。
テンションかけながらロッド下げられないから当然ばらしたし、先輩からは「何してんねん」って苦笑されたけど、「あなたのリールのせいです!」とは言えなかったよねw
今のエントリークラスのリールは割としっかりしてるし、余程の事が無いとそこまでの事は無いかもしれないけど、リアルな話として単純に巻けないという事態も性能の差で起こりうるというのは強調しておきたいです。
②ドラグに対する安心感。
これはスピニングリールであれば最も重要なポイントの一つと言ってもいい。
当然高いリールのドラグ性能は非情に優れている。ドラグの滑り出しが鋭敏で、滑りにムラも無くなめらか。これは単純に掛けた魚をばらしにくくなるという事に直結する。
それにある程度の値段を超えてくると、ラインローラー部にもベアリングを当たり前のように採用するし、尚更ラインへの負担は軽減できるよね。
アジングで使用するエステルラインなんかは、伸びが全く無いため、ドラグが甘いと合わせ切れや足元でラインブレイクが多発してしまう程。だからアジングをやり込んでる人はドラグ性能に凄くこだわるし、リールにはお金を掛けている人は多いね。
ここからが大事な話なんですが、高くてドラグ性能に優れたリールって、ドラグを締め込んだ時に本領を発揮するんですよ。
これは割と誤解されやすいけど、ドラグって緩めてしまえばどのリールでもラインは出るんです。問題は、いかに締めこめるか。
ドラグを締める=ラインの強度の限界に近づけるという事。なので、ラインの性能や特性を限界まで引き出す能力が、値段の高いリールにはあるんです。
ラインの限界能力を引き出せば魚を余計に走らせずに済むし、獲れる魚は確実に増える。
ぶっちゃけ、今のリールって仮にエントリークラスとかでも割とドラグはしっかりしてるから、言う程値段の差は大きくないとオレは思う。
でも、少なくとも細糸を使用する釣りを極めていこうとするなら、優れたドラグ性能は追い求めざるを得ないだろうね。
③性能維持に対する安心感。
一言で言えば、壊れにくい。
もう少し砕いて言えば、快適に使用できる状態を維持しやすいという事。これは例えば、ダイワのマグシールド、シマノでいうXプロテクトのような防水機構だったり、単純にギアやパーツ類全般の剛性や強度等によって話が変わってくるよね。
価格帯を問わずリールというのは購入時が最も性能が高いけど、その性能をどれだけ長く維持できるかという事も、値段によって差は生まれる。
ハイエンドだから絶対に壊れないなんて事は当然あり得ないし、安いからって壊れやすいとも当然言えない。でも、明らかに道具としての信頼性と安心感はハイエンドの方が高いのは間違いないです。
リールの違いその3. 快適に使用し続けるための維持費。
さぁ、ここですよ。
オレはこの”維持費”というポイントを書きたくてこの記事を書いた。
ここまで書いてきたことは、ググれば他の記事でも似たような事書いてると思います。
みんな見落としがちだけど、車と同じでハイエンドクラスのリールは維持費も余計にかかりますよ。
え??今年の冬のボーナスでイグジスト買うんですか??
買ってからもお金かかりますけど覚悟はOK?
リールの値段が上がるという事は、パーツの値段も上がるという事。
一概には言えない部品もありますが、基本的にハイエンドクラスのパーツの価格はエントリーミドルクラスより高いと思って良いです。
これは単純に修理やオーバーホール時に掛かる費用負担がデカくなるという事。
ハイエンドクラスになれば、修理や交換の対象となりやすいボールベアリングの搭載数も多く、しかもベアリングの値段そのものも高くなる(モノによるが)。
他にもメインギアやピニオンギアなんかもミドルクラスと比較しても値段が大分変わってくるし、最悪釣り場でこけてボディが歪んだ、大きなヒビが入った時とかゾッとするような値段になる事もあります。
オレは一度だけ釣り場でコケてツインパワーをモロに下敷きにしてしまった事がある。最悪だった・・・ボディは歪んでハンドル回らないし、ギアもイカれて、スプールエッジも傷だらけ。
シマノに見積もりだしてもらった時は卒倒しそうだった。新しいツインパ買えるやんっていう位の金額だったので。
自分でばらして修理するにせよ、メーカーに出すにせよ、性能を維持するために掛かる費用も想定して購入しないと、後々パーツ表や見積書見て目ん玉飛び出すハメになりますよ。
だから、オレが釣具屋時代にお客さんによく言っていた話が、実は維持費やパーツ代があまり掛からず、しかもそもそもの性能維持力もある程度しっかりしたミドルクラスのリールが一番結果的に良い性能を維持しやすいんですよ。
少し話が違うけど、例えば替えスプールを何個も用意してればさ、それぞれラインの素材や太さを変えて巻いておけば状況に応じて対応できたりするわけですよ。
でも、イグジストやステラなんて、2500番クラスなら13,000円とかするんですよ?スプール組だけで。リール1台買えるやんっていう。
ところがこれがストラディックなら6,000円、フリームスLTなら4,600円。これなら負担も小さく抑えて、対応できる状況も増やせるし、結果的に釣れる魚も増えるんじゃないの??
っていう事で、オレは当時これを「バイオマスター実は最強理論」としてお客さんに説いていた。ストラディックではなく、バイオマスターっていうトコロに年月の流れを感じるねw
真面目な話、リールは良いモノを使うに越した事は無いけど、車と一緒で自分の経済力や財務大臣の嫁さんのご機嫌という観点から、維持費という要素はリール選びでは案外大事だと思いますよ。
財力があるブルジョワジーな方は別だろうけど、世の中の釣人の大半はそうじゃないじゃん。
見落としがちなポイントだからこそ、ここは冷静になって欲しいトコロです。
まとめ
ロッドと違ってリールは価格に応じた性能の差を実感しやすく、言葉としても比較的説明しやすいと思う。
おかげで少し長くなってしまったけど、分かりづらかったら申し訳ない。
ただ、とにかくオレがこの記事で特に言いたかったことは、
高いリールは維持費も掛かるよ。
っていうポイント。ホントに見落とされがちだからね・・・
リール選びの参考になれば幸いです。
以上、ムラキでした。
この記事も読んでかない?↓