どーも、ムラキです。
元釣具屋店員です。
いらっしゃいませー
釣具屋で勤務していた約5年の間、ほぼ毎日のようにロッドの修理を受けてきたんだけど、お客さんが持ってくるロッドの9割はティップ付近で折れてます。ベリーやバットが折れたっていうケースは非常に少ないんだよね。
で、ロッドを折った人の過半数の人は「俺は何もしてないよ!」「普通に釣りしてたら折れた!」って言うんですね。
何もしてないのに折れるって一種のオカルトやん・・・って内心思ってたけどそれはさておき、今回はロッドが折れる原因と、ロッドの各部位の役割について語ってみようと思う。
良かったら最後までよろしくー
目次
ロッドは腕の延長。
まずそもそも論ですが、「ロッドは腕の延長」と言われています。これは大昔から言われる事ですが、間違いなく真実です。
腕だけでは仕掛けの投入が難しい場所があり、腕の力とコントロールだけでは太刀打ちできない魚がいるので「ロッド」は生まれ、ロッドだけでは届かない場所に仕掛けを投入したり、ロッドだけでは獲れない魚を獲る為に「リール」は誕生したわけです。
つまり、源流を辿ればロッドは勿論、リールだって本質的には腕を補助するための道具なんだよね。腕の延長線上で仕事をするのがロッドやリールというワケです。
でも、正確には「ロッドは体の延長」なんじゃないかと思うんですね。腕だけでなく、体幹、手首、指先の映し鏡みたいなもんじゃねぇのかなって。
この辺についてもう少し説明します。
ロッドは体の延長。
まず最初に、砲丸投げをイメージして欲しい。砲丸はクソ重たいので、腕の振り、あるいは手首のスナップだけではまともに飛ばす事は無理だよね。
重い砲丸を投げ飛ばすためには、体全体を駆使して弾き出すのが最も自然かつ合理的な手段になります。もう少し詳しく言うと、体幹&足腰から力を作り、肩→腕→手首と伝達していくわけです。
つまり、”筋肉と骨”が強い(太い)場所から力を作り、そこから順に弱くて繊細な部位へと力を運んでいくわけですね。
これはロッドにおけるキャスト、フッキング、やり取り等においても全く同じです。人間が何かを投げたり、重いモノを持ち上げる時は体幹から体を使うように、ロッドだって強い個所で負荷を受け止め、生まれた反発力をティップまで伝達するのが自然なはずです。
ロッドにおける太い筋肉と骨はどこに当たるかっていうと、それは言うまでも無く、バットだよね。見た目からして太く、そして硬い(強い)。バットは最も強い力を生み出し、そして強い負荷を受け止める耐性に優れています。
ベリーは肩や腕に相当します。バットで生み出した力をティップまで伝達し、適度な強さとしなやかさを持って、ロッドアクションやキャストにおいてはコントロール性を発揮し、負荷に対してはクッション性も持ち合わせています。
ティップは手首や指に相当します。バットから運ばれてきた力を最終的に開放していく場所であり、しなやかさと繊細さを持って、キャストにおいては細かいコントロール調整を担い、シェイクやトゥイッチみたいな繊細なアクションを演出する上でも重要な箇所です。
ティップに関しては、砲丸投げより野球のピッチングをイメージする方キャストのイメージと結びつきやすいかもね。ピッチングも、体全体を駆使する事に変わりは無いけれど、最後の最後の繊細なコントロールを手首や指先が仕事をする・・・みたいな。
バット(体幹)の持つパワーを、
ベリー(肩や腕)へと伝達し、
ティップ(手首や指先)で繊細にコントロールする。
こうやって考えてみれば、腰や背骨の動きだけでボールを繊細にコントロールするのは難しいと思いますし、逆に腕や手首の力だけでモノを投げたり強い負荷を受け止めるのは無謀な行為と言える事がイメージできると思う。
体の各部位に担うべき役割があるように、ロッドの各部位にも担うべき役割がある。
だからこそ、”ロッドは体の映し鏡であり延長”だと思うんだよね。
順番と役割を間違えるから折る。
ここからが本題です。
先述の通り、腕や手首だけでは砲丸はまともに飛ばない、と書いたけれど、腕や手首の筋肉&骨だけで飛ばそうとしたら普通に怪我します。
例えば腕を360度グルグル回すとか、手首のスナップと指の押しで強引に弾き出すとかやると、筋断裂を起こしたり、脱臼や骨折したっておかしく無い訳です。腕や手首がやるべきではない仕事をむりやりさせているのだから。
でもこれ、ロッドも同じなんですよ。ロッドを折る原因の大半は、ロッドを曲げる順番がおかしかったり、各部位の仕事のさせ方が悪い。
めっちゃシンプルに言えば、記事のタイトル通り、「バットから曲げていない」からロッドを折ってしまうんじゃねぇの?っていうのがオレの持論なんだよね。逆に言うとティップから曲げてるんじゃないの、と。
少し極論かもしれないけど、バットから曲げる、曲げ続ける、という事が出来れば、キャスト・フッキング・ファイト・取り込みで折れる事は基本無いです。
絶対無いとは言えないけど、少なくともティップだけポキッて行く事はほぼ無いです。
よく言われる話ですが、ちゃんとバットから曲げてロッドの限界に達して折った場合、ロッドは複数個所が同時に折損します。オレも1回だけ経験があるけど、ティップ、ベリー部が同時に逝った。結構ビビるよw
で、冒頭でも書いたように、お店で受け取る折損したロッドの9割はティップで折れてるんです。手首を怪我した人間が「砲丸投げを手首のスナップだけでやっただけだ!」って言ったら大抵の人は「そらそうよw」って突っ込むはずです。でも、ティップで折れるってそういう事なんですよ。
なので、ティップで折れたらほぼほぼ自分のせいと思って良いです。
「取り込もうとしたらいきなり折れたんだよ!」
って?
申し訳ないんだけど、取り込み中に折るのは割とありがち・・・それどころか一番折りやすい場面なんですよ。ロッドとラインの角度が鋭角になりがちだし、ティップ~ベリーだけで負荷を受け止めがちなので。
「いやいや、オレの場合は普通にフッキングしただけだ!」
って?
まずそもそも、フッキングにまで至ったならちゃんとキャストは出来たわけで。もしロッドが不良品なら、ルアーを投げた時点で逝ってます。なんだったらジャークで逝きます。
「数投目のキャストで折れたんだぞ!」
って?
数投目でも、100投目でも、1回目が大丈夫だったのなら基本ロッドの問題じゃないと思いますよ。
「買ったばかりのロッドの1投目のキャストで折れたワイは??」
これに関してはギリ製品を疑える・・・けど、オレの経験上、99.99%クレームに出しても通らないので、自分のキャストが悪かったと割り切った方が良いかな。
「何もしてないのに折れた!」
ホラーじゃん。
真剣にそう思うなら釣具屋じゃなくて霊能者に相談した方が良いっすよw
でも真面目な話、ロッドを折ったら「曲げる順番が狂っちゃったんだな・・・」って解釈する方が良いと思います。
バットから曲げる事を意識するコツ。
バットから曲げろって言われても、実際どうやればいい訳よ?っていう人もいると思う。
まぁ、オレもプロでは無いので偉そうに語れる事は多くないのですが、割とシンプルです。
①キャスト →テイクバック時にルアーの重みをバットで感じる。
②フッキング → 当たりがあったらとにかく巻く。糸ふけを十分巻き取ってからタックルを体に引き寄せる
③ファイト → ティップとラインの角度を常に一定に保つ。
っていう感じ。
ありがちな話だけど、大事な事。だけど、意識しないで雑にやってる人は多いです。
プロでも酷い人は酷い。フッキングしたは良いけど、糸ふけの回収が少なすぎてタックルが頭の後ろまで行っちゃって、バットが全然使えてない人とかYOUTUBEで普通に見るよ。大抵バレるけど。
でも、②と③に関しては魚からの反応が無い限り経験を積めないのは事実です。だから、これらに関しては「数重ねて慣れよう!」としか言えないんだけど、①のキャストに関しては一番繰り返す所作なので練習はした方が良いよね。
で、キャストで是非やってみて欲しい練習法があります。
バットから曲げる意識を養うコツとして、紹介したいと思う。
片手で投げてみよう。
そんだけ??って思うかもしれないけど、そんだけ。でもメチャクチャ学びが多いですよ。
キャストで折る人って、スイングの速さによる遠心力だけで弾き飛ばしてる人が多いです。そういうキャストをやっちゃうと、テイクバック時にベリーくらいまでしか曲げ込めず、勢いだけで飛ばしがちです。
先述の砲丸投げで言うなら、腕だけをぶん回して強引に投げるようなもんです。大して飛ばないし、ティップ~ベリーには突然の強力な負荷が掛かるわけで、そりゃ逝っちゃうよね・・・と。
ぶっちゃけ、そんなキャスト繰り返す位なら鉄パイプにガイドとリールシート付けて釣りした方がマシです。しなりを活かす必要が無いのだから、強度重視でOK。
でも、片手になると、力みが強制的に半減以下になるので、物理的な速さでごまかすことが出来なくなるわけですね。つまり、意図的にテイクバックからキャストまでの一連動作がスローにできる。
スローになると、テイクバック時にルアーの重みをしっかりとバットで感じ、曲げた分のバットの反発力を丁寧にベリー → ティップと受け渡していく感覚を養いやすいです。
こんなんで飛ぶの?って思うかもしれないけど、まぁ一度やってみて欲しい。丁寧にやれば割と飛ぶはずです。何より、軽い力で「ロッドが飛ばしてくれる」という最高に気持ちイイ感覚が味わえます。
まとめると、意図的に速いキャストが出来ない状態を作る事で、
①バットでルアーの重みを感じる。
②丁寧に反発力を伝達していく。
③ロッドが飛ばしてくれる。
という感覚を自分の体で味わいやすく出来るわけです。ワンチャン、両手で投げてた時より飛距離が出る!っていう人もいるかもです。っていう位、ロッドが飛ばしてくれる感覚は大事ですよ。
ただし!
シーバスやエギングロッドみたいな8ft以上の長いロッドでオーバーヘッドキャストを片手でやると流石にやりにくいし、手首を怪我する可能性もある。
なので、重かったり、長尺のロッドの場合は両手でもいいので(グリップエンド側は出来るだけ添えるだけにしてね)、アンダースロー、もしくはサイドキャストで投げてみて欲しいです。
アンダー、サイドキャストは勢いだけでスイングしにくいので、片手キャストと同じような状態を作りやすいですよ。
ケガに気を付けてやってみてね。
ロッドの使い方は村田基に学べ。
最後になりますが、正しい、折れないロッドの使い方を学ぶなら、村田基の動画が一番勉強になると思います。多分、メディアに出るアングラーの中で、日本で一番ロッドの使い方が美しく、無駄がない。
他のプロアングラーを悪く言うつもりは無いけど、ぶっちゃけロッドの使い方に関しては真似しない方が良い人は沢山います。信じられないようなロッドの使い方をする人は多いので。
特にバスプロ。契約してるメーカーから怒られないのかな・・・って心配になる人は沢山いるよ。
話は少し違うけど、根掛かりを外すのに「スティンガー外し」とかいう極めて危険なロッドの使い方を堂々と一般アングラーに見せつける超人気ルアーメーカーの代表取締役だっているのがバスプロ界隈です。見せるためとはいえ、あれはホントに良くない。
その一方で、ジムは意外と真っ当です。
ロッドの使い方に関しては”教科書”と形容するに値します。豪快なオヤジ的なイメージがあるけれど、実は基本に堅実で、とっても丁寧に道具を扱う人なんだよね。
動画を見てても、キャスト、フッキング、ファイト、取り込み・・・全てにおいて、バットから曲げ込んでいるのが分かりますよ。
村田基の動画ならどれでもロッドの使い方は参考になると思うけど、特にみて欲しいのはコレ。
【いつでも釣り気分!】#118 カテゴリーを超えて アマゾンの猛魚に挑む
特に21:00~の魚をぶり上げるシーンはホントに参考になる。
取り込みでの折損はありがちと書いたけれど、特に魚をぶりあげる時にやっちゃう人は多いです。オレもやった事があるけどね・・・で、ぶり上げる時の非常に良いやり方なのが上の動画です。
ぶり上げる時にロッドを立てるんじゃなくて、後ろに引いてるのが分かると思う。ロッドの角度を出来るだけ一定にしつつ、バット~ベリーに負荷を与え続けられるので折れづらいです。
オレも色んな魚でコレをまねしてぶり上げるようになったけど、それ以来ロッドを折った事は無いです。コレはホントにおススメだよん。
ジムじゃないけど、20:26~の同船者(ジムの動画でおなじみネルソン)もこれでぶり上げてるね。この人もロッドの使い方が丁寧です。
なんやかんやでジムって凄いと思いますよ。
よー喋るけどねwww
おわりに
先述の通り、オレはプロでも何でもないし、ロッドの製法とかも学んだ事は無いです。自分でロッドを折った事も何回もあります。
だけど、今まで自分が折ってきた経験上、何で折れたか分かんないケースって一度も無い。大抵、お粗末な不注意か、今回記事でまとめたバットが使えてなかったかのどちらかに行き着きつく。
ロッドが折れたのを誰かのせいにする人を数えきれない程釣具屋で見てきたけど、あえて問う。
それ、バット使ってた?
その記憶があやふやなら間違いなく使って無いです。
お願いだから釣具屋で怒鳴る前に冷静に考えてみてね。
参考になれば幸いです。
以上、ムラキでした。